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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(オ)85号 判決 1948年12月23日

主文

本件上告を棄却する

上告費用は上告人の負担とする

理由

上告代理人弁護士重田休助上告理由第一点について。

所論は、旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)に「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、「届出自体が当事者の意思に反する場面即ち届出其のものに瑕疵ある場合」を指すものであると主張する。しかし、それは、当事者間に真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指すものであると解すべきは、言をまたないところである。されば、たとい養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があつたとしても、それは単に他の目的を達するための便法として仮託されたに過ぎずして真に養親子関係の設定を欲する効果意思がなかつた場合においては、養子縁組は効力を生じないのである。これと同趣旨に出た原判決には、所論のような違法はなく、論旨は、それ故に理由がない。

同第二点について。

真に養親子関係の設定を欲する効果意思がない場合においては、養子縁組は旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)によつて無効である。そして、この無効は絶対的なものであるから所論のように原審が同第九三条但書を適用する必要もなく、又適用したものでもない。従つて、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よつて民訴第四〇一条、第八九条、第九五条に従い主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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